当協会では、令和元年12月1日(日)にレンタルスペース本町において、上篤先生に講師としておいでいただき、「基本に立ち返るキャリアカウンセリング~人生100年時代のキャリアカウンセリング~」をテーマとし、キャリア研修会を開催いたしました。
上先生をお招きするのは4年ぶりで2度目となります。山田理事長の開会挨拶では、4年前の研修会での『私たちキャリアコンサルタントにとって、上位資格の取得も大切ではあるが、カウンセリングの経験を重ねることこそが重要である』という上先生の教えがいかに支えとなってきたかが語られ、先生を歓迎する雰囲気が一気に高まりました。
続いて、西條副理事長による上先生のご紹介の後、研修がスタートしましたが、上先生からのリクエストで西條副理事長にとっての「基本に立ち返る」意図の語りが促されました。新潟にご縁の深い上先生との掛け合いが、また場を盛り上げます。
西條副理事長から語られた想いは2点です。
①キャリアコンサルタント(CC)が国家資格化され、一定時間数の更新講習受講が義務付けられました。単なる資格更新の時間を満たすだけの研修受講になっていませんか?支援者として、クライエントに価値のあるものを提供するための研修が、自分のためだけになっていませんか?いま一度、資格と取った時に原点に立ち返り、クライエントに対してCCとして何ができるか、何を研鑽していけばよいのかに立ち返ってみましょう。
②CCとして、他の心理系資格との差別化もあり、積極技法や課題解決が強調されているようにも感じますが、基本的な部分がおざなりになってないでしょうか?傾聴はおろそかになっていませんか? 家に例えると、1階部分が傾聴スキルで、2階部分が積極技法。1階なくして2階はありえないと考え、あらためてご自分の傾聴姿勢を見つめなおしてみませんか?
この想いを受けて、上先生のファシリテーションのもと参加者グループで「傾聴」をテーマとした話し合いがスタート。今回の研修の意図である傾聴の重要性が共有されたところで、上先生からキャリアカウンセリングとは何かをキーワードとともに解説して頂きました。
・「心理臨床的カウンセリング」と「教育開発的カウンセリング」
・「キャリア」の語源…「轍」と「競馬場」
・「ワークキャリア」と「ライフキャリア」
・「外的キャリア」と「内的キャリア」
そしていよいよ、効果的なキャリアカウンセリングのために傾聴トレーニングです。
①3つの聞き方〈石/ボディランゲージ/声〉を経験学習
どういった聞き方が、自由に話せる場をつくるかを体感しました。
②5分間、10分間の傾聴ロールプレイ
話し手は、事柄と感情の2つを伝えようとしていることを念頭に、その両方をキャッチすること。言葉に表しづらい感情もキャッチして、伝え返して確かめていく練習です。
最後に、傾聴で1対1の面談ができることに加えて、キャリアコンサルタントとしては必須の、グループワークのファシリテーション・プロセスも体験しました。
少子高齢化社会での人生100年時代において、『継続雇用後もモチベーションを維持・向上するには、個人としてどのような対処・考え方をすれば良いのだろうか』というテーマでグループの話し合いをファシリテートしていきます。一人ひとりが、グループに流れている雰囲気・感情・関係性の変化を読み取ります。上先生による全体のファシリテーションもあって、正解・不正解を問わないお互いに異なる意見を認め合うプロセスの中で、十分にテーマを深めることができました。
研修会終了後は、会場を移して上先生を囲んでの懇親会を行いました。
参加された方のなかには、上先生とのご縁の深い方もいらっしゃいましたので、思い出話も交えて、大変楽しい時間を過ごすことができました。
参加された皆様からのアンケートでは、「ベースの部分をじっくり振り返ることができました」「更新講習の時間だけでなく、純粋にCOとしての自分を磨くため振り返る機会すごく大切だと思いました」「上先生の『一つだけが正しいというわけではない』というお言葉、かもし出すムード、とても勉強になりました」「自分自身のキャリアを考えるうえでも、内的 キャリアの大切さを改めて考えさせられました」「ロールプレイング、グループワークで参加された方々の多くの考え、意見を聴くことができて有意義でした」などの声を頂戴しました。
基本に立ち返って傾聴スキルを見直す研修でしたが、終わってみると上先生の存在そのものが自己一致されたカウンセラーの姿そのものであり、その話し方・聴き方に触れて、参加者全員でグループカウンセリングを受けたような余韻の残る一日でした。
当協会では、研修会を始め、今後も会員相互の交流や研鑽の機会の充実に努めていきたいと考えております。皆さまのご参加をお待ちしております。